輪るピングドラム5話、「だから僕はそれをするのさ」。
冠葉の頑張り、そして頑張る理由が語られた回。
いくら妹を救うためと言っても、自転車でトラックに追いつくって…w
この作品、特に今回の話は、OPに登場する銃を持った少女の行動にせよ、
謎の人物から高校生がどうにもできないような大金を受け取る冠葉にせよ、
不穏な展開の塊だと思うのだが、今回の感想では展開とは別の不穏さ、
演出から感じた不穏さを中心に書いてみたいと思う。
苹果が父と会食するシーン、父が今の妻からの電話を受けるところで、
父が自分たちの家族ではなく、今の家族ばかりにかまけていることへの不満、
そして家族お揃い携帯ストラップを父が外してしまったことへのショック、
そういう苹果の感情を絵画で表現していたのは、ベタだが良かったと思う。
実際、ここでの父の反応は冷たいというかえげつないというか、
苹果の思い出話を覚えてないし、話に対するリアクションも投げやりだし、
娘と心から会いたかったというよりは、「義務だから」会っている感じで、
それを感じ取った苹果の心情を、絵が的確に表しているように感じられた。
…で、この「絵画」に関連して気になったのが、苹果と多蕗、
そしてクリムトの「接吻」をコラージュしたもう一つの絵画である。
「エルフェンリート」のOPでも使われていたこの絵、一見すると
(というか上部だけ見ると)幸せそうなイメージを抱くかもしれないが、
絵画全体を見た時の、少なくとも自分が受けた印象は全くの逆。
全体として金をふんだんに使ったきらびやかな色彩の中で一際映える、
この二人の足場の部分に散りばめられた紫と濃青の花々、
そしてこの二人が崖っぷちに立っているというその状況が、
「死」だったり「破滅」だったりを匂わせる、そんな絵画だった。
クリムトの絵画は死を連想させるものが多いのだけれども、
この絵はそのクリムト特有の死臭が特に強いと個人的には思う。
そしてこれが指し示すものは、今回の「多蕗にケーキを届けに行ったら、
多蕗デート中」というちょっぴりブルーな展開では全然足りなくて、
苹果のもっと破滅的な未来なんじゃないかという気がしている。
というかそうじゃないと、絵のインパクトと釣り合わない気がするのだ。
自分はクリムト信者で、この絵もオーストリアまで見に行ったくらいなので、
過大評価している感は無きにしもあらずだが、苹果には失恋ではすまない、
大変な未来が待ち受けているように感じられてならない。
エルフェンリート級にやらかすんじゃないかと思うのだが、どうなるだろう。
次回、…やはり予告からは何も分からない…!
苹果が帽子様の存在を知ったところで次回へ…というのは実に上手い引き。
どうリアクションするんだろうか?次回を楽しみに待ちたい。
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