輪るピングドラム最終回、「愛してる」。
凄い良い最終回。面白かったし、感動もした!
個人的に、高倉家三人が生き残るハッピーエンドを望んでいたのだが、
冠葉と晶馬と消滅しても、ここまで高倉兄妹の心がガッチリつながった、
素晴らしいハッピーエンドを演出できるのかと、素直にビックリした。
眞悧と桃果「この世界は与えてはくれない、だから破壊する」というのが眞悧の思想。
それに対し、「分け合う」だけで人は幸せになれるというのが桃果の思想。
世の中のほとんどの子供は、運命によって「失われている」のだけれども、
その残ったものを他者から分け与えられることで、幸せになれるんだと。
サブタイトルに入っているので、「愛」という言葉だけが強調されがちだが、
その愛も、分け合うことの一つの象徴に過ぎないんだろうと思われる。
桃果が「運命の乗り換え」で、自分の命で代償を払わなければならないのも、
あくまで、自分の命を分け与えるだけだからなんだろう。
晶馬最後の晶馬と苹果のやり取りは解釈が分かれるところだと思うのだが、
個人的にはここは、「晶馬が苹果を救った」というよりも、
「晶馬が陽毬、冠葉と罰を分け合った」という解釈の方がしっくりくる。
陽毬の病気という罰、そして冠葉がそれを救うため消滅するという罰を、
晶馬も共に享受したんだと。「これは僕達の罰だから」という言葉が、
それを象徴してるんじゃないかと思う。
冠葉と陽毬前回までの冠葉と陽毬は、お互いに与えるだけの一方通行。
冠葉は陽毬のことを愛し、助けようとしているのだけれども、
陽毬はその愛を受け入れず、自分だけが犠牲になろうとしており、
冠葉も冠葉で、自分のために馬鹿な真似をする兄を必死に止めようとする
陽毬の気持ちを踏みにじっていたように見えた。
それを陽毬が受け入れたのが、今回の話だったんじゃないかと思う。
冠葉が陽毬に命を分け与えても、冠葉は陽毬の中で生き続ける、
そして晶馬も一緒にいてくれる、なので安心して逝けとw
冠葉と晶馬は世界の風景から消え、陽毬だけが残されたわけだけれども、
罰を分け合うことで、陽毬の命は三人の命となった。
三人生きて揃わなければハッピーエンドじゃないという見方もありだが、
自分はこれはこれで素晴らしいハッピーエンドだと思う。
総評何回か前の感想で、名作と良作の狭間だと書いたが、名作だと思う。
中盤以降、高倉家三兄弟の隠されていた部分が明らかになって、
その秘めていた感情の深さに圧倒され、非常に楽しんで観てはいたのだが、
ストーリーものは結末が大事、なので一応評価は保留にしていた。
しかし最後まで観ても、やはり名作だった。
これまでの今年終了番組で一番気に入っているのはスタドラなのだが、
これはいい勝負だと思う。というか、この作品の監督である幾原監督と、
スタドラの榎戸洋司が協力して作ったウテナってどんだけ凄いんだよ…w
演出的には、スタッフの頭の中をそのまま映像化したというか、
訳は分からないんだけれども、やけにしっくりくる演出が多かった!
作りとしては、理屈というよりもそういう直感を重視している印象で、
いろいろ謎の言葉(生存戦略、プロジェクトM、etc.)とか、
全く回収されていない伏線とかいろいろあると思うのだが、
それらはその場での視聴者の持つ「印象」を意識した結果で、
言ってみれば演出、展開上の深い意味は無いんだと思う。
ただ、そんなことは放送中の段階では全く分からないわけで…
あまりに分からないので、ブログの記事を書くのが真剣に辛いことが
結構あったw 今年終了作品では、記事の書きたく無さはダントツw
幾原監督を始め、スタッフの方々はお疲れ様でした!
次も素晴らしい作品、期待しております!
にほんブログ村
-- 続きを閉じる --